【本記事は2024年9月に作成されました】
SFOPの効果
「Streamlined Foreign Offshore Procedures(以下SFOP)」とは、過年度に関し、FBARのような国際的情報申告、TRやその修正申告を行うことができる制度です。
通常、申告を行わなかった場合は「failure-to-file penalty」「failure-to-pay penalties」「accuracy-related penalties」「information return penalties」「 FBAR penalties」といったペナルティが課せられますが、適切にSFOPを行うことで、これらのペナルティを課されなくなります。
※過去に課された罰金が軽減されるわけではありません。
SFOPの対象者
まずはIRSの記事に沿って、どのようなtaxpayerがその対象になるのかを確認しましょう。
以下の(1)~(3)をすべて満たすことで、SFOPの手続きが可能となります。
(1) non-residency requirementを満たすこと(Joint Returnの場合は夫婦両方)
具体的には以下の条件を満たす必要があります:
(1-1) 米国市民、永住権を持つ者、またはそれらの遺産財団である場合:
申告期限(延長した場合は延長後期限)が過ぎた直近3年間のうち1年以上において、アメリカに住所を持たず、かつ少なくとも330日以上アメリカ国外にいたこと
※一時的滞在や、単に住居を持っているだけの場合、「住所を持っている」とはみなされません。
(1-2) 米国市民でも永住権を持つ者でもなく、それらの遺産財団でもない場合:
申告期限(延長した場合は延長後期限)が過ぎた直近3年間のうち1年以上において、Substancial Presence Testを満たさなかったこと
Substancial Presence Testは、いわゆる183日ルールのことです。詳細は別記事を参照。
(2) 海外金融資産から生じる所得の申告およびその納税を忘れており、国外金融資産に関する情報申告(FBAR)を忘れている可能性があること
(3) (2)の申告忘れが故意でないこと
🤔わざと申告しなかった者には恩恵が与えられない、というのは自然な発想ですね。
準備:ヒアリングすべき情報
・SFOPで申告する直近Max3年間のForm 1040 / Form 1040X を作成するために必要な情報
・SFOPで情報申告する直近Max6年間のFBAR(Form 114)を作成するために必要な情報 + 後述「具体的なポイント」の自由記述欄を埋めるうえで必要な情報
SFOPで提出等すべきもの
SFOPの対象者は、以下のすべてを行うことでSFOPの恩恵を受けられます。
・申告期限(延長した場合は延長後期限)が過ぎた直近3年間に関し、申告or修正申告を提出する
・上の申告or修正申告とあわせ、すべての必要な情報申告(Form 8938等)を提出する
・申告期限(延長した場合は延長後期限)が過ぎた直近6年間に関し、FBARの情報申告を提出する
🤔FBARのペナルティは金額が大きく、taxpayerへのダメージが甚大になることが考えられるため、6年という長い救済期間が設定されているのかもしれませんね。
・これらの申告に関して納付すべき税額とその利息の全額を納付する
🤔あくまでSFOPによって免除されるのはペナルティだけ、と覚えておきましょう。
具体的なポイント
・提出するForm 1040(修正申告の場合は Form1040X)の1ページ目、一番上に赤字で「Streamlined Foreign Offshore」と記載しましょう。これがないとSFOPとして処理してもらえないため、絶対に忘れないように。
なお、少なくともUltraTaxではこの赤文字を自動で入れる機能はないと思われるため、PDF編集ソフト等で自分自身で入れる必要があります。

次に、Form 14653(Certification by U.S. Person Residing Outside of the US for SFOP)を作成します。これは、当該taxpayerが「SFOPの対象者」で述べた条件をすべてクリアしていることを証明するためのFormです。
なお、このFormはUltraTaxにはないようなので、自分でPDF版をダウンロードして、必要な情報を記入しましょう。
🤔Form番号の語呂合わせ:人知ろう誤算 SFOP
2025年版のForm 14653が発行されたようですので、以下の記事は最新版と少々異なる部分があるかもしれません。注意してお読みください。
Form 14653は非常にシンプルなFormですが、一応以下に記入すべき個所を示します。
1ページ目

2ページ目上部

2ページ目下部

このパートが少々厄介かもしれませんが、IRSのSFOP等に関するFAQページが参考になります:
申告書を提出しなかった具体的な理由や、関連すると思われる事実を記載せよ、という欄です。
また、海外金融資産の資金源について説明する必要があります。「相続によって得た」「海外に居住している際に開設した」「開設・使用するビジネス上の理由は〇〇であった」等を記載するほか、「××のような引き出し、預け入れがあった」というように、当該口座との接触についても言及すべしとされています。
3ページ目
※真ん中の「For Estates Only」は、遺産財団の場合に記入します。筆者のクライアントにはあまり遺産財団がいらっしゃらないため、今回は赤で囲まずにいます。

taxpayerにお願いすること
書類の作成が完了したら、以下をtaxpayerにお願いしましょう。
・各年のForm 1040等へのサイン ※直筆。DocuSignがOKかどうかは未確認
※taxpayerから返送されてきた書類にて、赤字で記載した注意書きがモノクロになっている可能性がありますが、実務上問題はないようです。ただし安全のため、当該ページだけでもカラーで印刷してもらった方がベターかもしれません。
・Form 14653へのサイン ※直筆。DocuSignがOKかどうかは未確認
・FBAR(Form 114)をefileすることをtaxpayerが許可した、という証明であるForm 114aへの、各年分へのサイン ※Wet signatureである必要なし。
🤔当局に出すのではなく、「efileの許可をもらった」ということを証明するために税理士側で保管しておくための書類であるため。同様の理由でForm 8879(IRS e-file Signature Authorization)もWetでなくてOKですよね。
なお、受け取ったForm 14653については、提出する各申告書にそのコピーを添付する必要があります。
※FBARには添付してはいけません。
※どの場所に添付するかは各事務所等によって異なると思いますが、Transmittal LetterとForm 1040の間などが無難ではないかと思われます。
filingについて
SFOPでfilingするMax3年分の申告or修正申告はefileが許可されておらず、ペーパーでの申告となります。
送付先は以下のとおりです:
Internal Revenue Service
3651 South I-H 35
Stop 6063 AUSC
Attn: Streamlined Foreign Offshore
Austin, TX 78741
※SFOP専用の窓口となりますので、通常のペーパー申告ではこの宛先は使用しないでください。
他方、FBAR部分についてはefileが必須です(ペーパー不可)。
その際の注意点は下記のとおりです:
・UltraTaxでefileをする場合は、該当する年度のUltraTaxからefileをすること(例:2021年のFBARなら2021版UltraTaxから行う)(参照)
・遅延理由を求められたら「other」を選び、説明欄に「Streamlined Filing Compliance Procedures.」と記載すること
※UltraTaxの場合、Foreign Bank & Asset > 114 > Other Information の「Amended or late filed form」を「Z」にし、その下の「Explanation for late filing Code Z, Other」に上のフレーズを入力する形になります。
・UltraTax等のソフトウェア経由で申告しない場合は、FinCEN BSA E-Filingシステムからefileすること
終わりに
最大でTRを3年分、FBARを6年分もprepareしないといけないため作業量は多いですが、SFOP特有の作業は少なく、また複雑な点もほとんどありません。
ぜひマスターして、SFOPに対応できる人材になりましょう!

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