【この記事は2025年7月7日に作成されました】
本記事の目的
「〇〇のケースでは償却年数は〇年」と丸暗記するのではなく、その法的根拠も含めて把握することで、応用力を養うお手伝いができれば幸いです。
ふたつの償却方法
1986年以降に使用開始されたほとんどのビジネス用・投資用資産は、MACRS(Modified Accelerated Cost Recovery System; 修正加速償却制度)というルールに従って減価償却されます。
このMACRSにはふたつの償却方法があり、GDS(General Depreciation System)とADS(Alternative Depreciation System)といいます。基本的にはGDSを使用していきますが、特定の資産を償却するケースや、ADSを用いるというelectionを行ったケースにおいてはADSを使用します。
賃貸不動産の償却期間
さて、Publication 946にて以下のように説明がなされています:
●GDS(IRC §168(c))
居住用賃貸不動産:27.5年
非居住用賃貸不動産:39年(1993年5月13日以降に使用開始されたもの)
●ADS(IRC §168(g))
居住用賃貸不動産:30年(2018年1月1日以前に使用開始されたものは40年)
非居住用賃貸不動産:40年
どんな資産がADSで償却されるか
IRC §168(g)(1)(A)で「主としてアメリカ国外で使用された有形資産」はADSで減価償却の計算がなされるべき旨が規定されています。
なぜ海外不動産はADS対象なのか
※本節は筆者の推測も混ざっています。
GDSの趣旨(法律や規定の目的)は、償却期間を短くすることで納税者の費用計上を増やすことにあります。これにより納税者としては「たくさん費用計上できるならば投資先としてオトクだ」と感じるようになり、投資が促進されるわけです。
これはIRS目線で考えると「短期的には税収が少なくなるが、そのぶんアメリカの経済成長を後押しして、長期的な税収アップを目指す」という、いわば「損して得取れ」な戦略になっていることがわかります。
さて、海外不動産にもGDSによる恩恵を与えることに意味はあるのでしょうか? おそらく答えはNOです。
人々が国外不動産に投資したとき、まずはその物件所在国にお金が投下され、その国の経済が潤いますね。もちろんまわりまわってアメリカの税収も増える可能性はありますが、基本的には自国ではなく他国の経済を利する行為になります。
他国に得をさせてあげるために、IRSが自らの税収を犠牲にするのは合理的ではないですよね。
このような理由により、海外不動産にはADS、つまり償却期間が長めなルールが適用されると定められているのだと思います。
最後に
27.5年・30年・39年・40年という償却期間を暗記すれば実務上は十分かもしれませんが、そのロジックも含めて理解することで「本当の意味で税務をわかっている人」に近づけるのではないでしょうか。

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