アメリカのForeign Tax Credit(IRC Sec.901, Form 1116)のように、日本にも外国で支払った税金について税額控除を取れる制度があります。

本記事ではこちらのページおよび川田剛『基礎から身につく国際課税 令和5年度版』を参考に、Enrolled AgentやFPとして知っておくべき最低限の知識をまとめています。

なお、法人税における外国税額控除は、本記事では触れません。

控除限度額の計算

その年の所得税額 × (その年分の調整国外所得金額 ÷ その年分の所得総額)

※第2項の分子と分母は、純損失や雑損失の繰り越し控除の規定を適用する前の金額です。
🤔適用させてしまうと前年以前の損失が控除額に影響してしまい、計算が煩雑になったり脱税に使われたりする可能性がありますね。

いくら多額の外国税を納税していても、上の式以上には控除は取れません。したがって「日本より税率の高い国にたくさん納税をして、日本側で過剰に税金を安くしよう」という手法は使えないことになります。

控除の対象となる税額

おおざっぱにまとめるならば「個人の所得や、その特定の部分を標準課税として課される税」というイメージです。つまり、収入が増減すると税額も増減するタイプの税金が対象ですね。

これに当てはまらない税金として、アメリカのexcise taxなどが挙げられます。したがって、たとえばアメリカでいくらexcise taxを納税していたとしても、日本側の外国税額控除には影響しないことになります。

また「いつでも任意に還付請求できる税」「猶予期間を任意に定められる税」などは、真の意味で “課税された額” とは言えないため、もちろん控除対象にはなりません。

手続について

確定申告書に添付すべき書類は、たとえばこのようなものがあります:
・外国税額控除に関する明細
・控除対象外国所得税を課されたことを証する申告等の写し等
・各種所得ごとに計算された国外所得金額の計算に関する明細書

タイミングについて

基本的には「租税債務が確定した日の属する年分」であって、納付した日が属する年とはなりません。ですが、継続的に外国税額控除を適用することを条件として、「租税債務が確定した日の属する年分」の翌年分として適用するという処理も認められます(所得税基本通達 95-3)。

このルールは、日米の国際税務に大きな影響を与えます。

たとえば2025年度の確定申告を想定しましょう。
日本は申告期日が2026年3月16日ですので、それまでにアメリカのincome taxの税額が確定していなければ、原則として2025年度の外国税額控除に当該taxの金額を適用できません。しかし、アメリカは期日が2026年4月15日以降ですから、作業の進捗によっては2026年3月16日までに税額計算が終わらないケースもあり得ます。

しかし、所得税基本通達 95-3のルールを適用すれば、「2026年も外国税額控除を使う」という前提付きではあるものの、前述のincome taxを2026年度の日本確定申告において外国税額控除に使うことができるようになります。
これで、いわば「外国税の払い損」のような事態は避けられますね。

最後に

国際税務を担当するEnrolled Agentにとって、最も身近な日本の税務トピックになります。細かいアドバイスはライセンス上NGですが、所得税基本通達 95-3の存在だけでも知っておくことで、柔軟に顧客対応ができるようになるのではないでしょうか。

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