【本記事は2025年1月19日に作成されました】

Schedule Eとは

アメリカの確定申告を行うときに、メインとなるForm(たとえば個人であればForm 1040)のほかに、Schedule xxという名前の別表を添えることがあります。これらの別表でさまざまな計算をし、その結果がメインのFormに集約され、最終的な税額や還付額が算出される、という流れです。

そのうちSchedule E(以下Sch. Eと略します)とは、不動産・ロイヤリティ・パートナーシップ・S Corporation・遺産財団・信託・REMIC(不動産担保ローン投資)での利子に由来する収支を報告する別表であり、本記事ではそんなSch. Eについて解説していきます。

参照しているのはこちらのIRSのページです。
また、以下は「不動産収入・支出があるtaxpayer」を想定して解説してまいります。それ以外のケースについては元記事をじっくり読む等、ご自身でリサーチしてみてください。

誰が作成するのか

上記のような収入や支出がある者が作成・提出します。

関連するFormについて

Sch. Eと関連が深いFormはいろいろとありますが、さしあたって頻出のものをいくつか紹介いたします。もちろんこれだけではありませんので、さらに知りたい場合は元のIRSの記事をご覧ください。

  • Form 4562:以下に当てはまるものがある場合に作成します。
    ・2024年内に使用開始した資産がある
    ・2024年から償却を開始したことを主張したい減価償却がある
    ・Section 179 即費用化を主張したい
    ・リストに入っている資産についての情報申告をしたい
    ※リストに入っている資産とは、自動車・携帯電話・コンピューター等、仕事で使うものの、私的な仕事でも使える資産を指します。
  • Form 8582:受動的活動での損失(Passive Activity Loss; PAL)を算出するため、および過年度に認可されなかったPALの適用を報告するために作成します。
    不動産経営を自身で積極的にやっていない場合は、不動産経営はPassive Activityとみなされますので、このFormの必要性が生じてきます。
    ※Passive Activityかどうかの判断は、厳密にはもっと多くの条件があります。本記事では割愛しますが、いつか当ブログでも扱う予定です。
  • Form 8960:Net Investment Income Tax(NIIT)に関するFormです。Modified Adjusted Gross Income(MAGI)が一定以上の金額を超えているtaxpayerの場合、このFormにも不動産収入を入力することになります。
    🤔詳細な数値はForm 8960のinstructionを見ていただければと思いますが、MAGIが$250,000(MFJまたはQSS)/ $125,000(MFS)/ $200,000(SingleまたはHOH)をオーバーしている場合、このFormの提出が必要になってくるかもしれません。所得が大きいtaxpayerは必要なFormが増えがちですので、無心で申告書を作成するのではなく「所得がこんなにあるのならば、あのFormの必要性を確認したほうが良いかも」と気づけるようになることは、申告書作成者として必須のスキルかと思います。

各記入項目について

Line Aには、Form 1099シリーズの発行が必要な支払いが、不動産収入に関連してあったかどうかをチェックします。
原則として、自身が雇用している者ではない者に対して$600以上の支払いをした場合、Form 1099-NEC(Nonemployee Compensationの略)の提出が必要ですし、また$600以上の賃料・賞金・医療健康の支払いなどその他の支払いがあった場合はForm 1099-MISC(Miscellaneousの略)の提出が必要です。
🤔積極的に不動産経営に参加しておらず、管理会社にお任せしているtaxpayerの場合、これらのFormの出番は基本的にないでしょう。しかし、自身できちんと参加しているtaxpayerの場合、Form 1099シリーズを作成していないかどうかを適切にヒアリングをしなくてはいけません。

Line 1aには、それぞれの不動産の住所を記載します。もし4物件以上ある場合はSch. Eを追加して情報を記載しますが、Line AとB、および23aから26までの部分についてはひとつのSch. Eでのみ回答します。

Line 1bは、それぞれの不動産がどんな対応であるかを記入します。よくある不動産経営においては、codeは1か2か3になるケースが多いと思われますが、もしホテルの一室を所有している場合は4のCommercialを選ぶことになります。
🤔ホテルは住む場所ではないので、Residenceには該当しませんね。

Line 2では貸していた日数、自身で利用した日数を記入します。また、適格なJoint Ventureの申告が必要である場合、QJVの欄にチェックを入れます。
※「自身での利用」は、自分自身が滞在目的で住んだケースももちろん含みますが、それ以外にも該当するケースがあります。詳細は元記事をご確認ください。
※適格なJoint Ventureとは、taxpayerと配偶者が2人で実質的に不動産経営に参加している場合に主張できる立場で、これを利用することでパートナーシップではなくQJVとして扱われ、Form 1065(U.S. Return of Partnership Income)の提出が必要なくなります。

Line 3~19で、物件ごとの収入・支出を記入していきます。なお、Line 5~18に当てはまるような項目がない支出は、Line 19のOtherに記入をし、詳細を記載した書類を添付すればOKです。
それらがLine 20~22で計算され、すべての不動産の合計がLine 23a~23eで集計され、最終的にLine 24, 25に集約されたのち、Line 26にて最終的な収支が導出されます。

Part II~Part IVでは、パートナーシップ・S Corporation・遺産財団や信託・REMICsに関する情報を記入しますが、本記事では不動産からの賃料収入があるtaxpayerのみを想定しているため割愛します。

さて、最終的にPart VのLine 41でそれぞれの活動からの収支が合計されますので、それをForm 1040のLine 5に転記すれば、Sch. Eは完成です。

最後に

海外不動産に投資する方が増えており、なかでもアメリカの不動産は人口増&不動産価格増のため、特に人気が高いとされています。
Sch. Eが作成できるというのは、今後日本人のtaxpayerをお客様として扱ううえで大きな武器になるはずですので、ぜひマスターしていきましょう。

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