【この記事は2025年1月12日に作成されました】

Form 8812とは

Form 8812「Credits for Qualifying Children and Other Dependents」は、適格子どももしくは他の適格被扶養者に関する税額控除(以下Credit)を適用するために必要なFormです。
🤔語呂合わせ:パパ(母)いつもありがとうの税額控除

具体的には次の3種類のCreditを適用するために使います。
・Child Tax Credit(CTC)
・Credit for Other Dependents(ODC)
・Additional Child Tax Credit(ACTC)

以下、IRSのこちらのサイトを参考に、その概要を解説していきます。

Child Tax Creditについて

Child Tax Credit(以下CTC)は、taxpayerにQualifying Child(適格子ども)がいる場合に適用できるCreditです。

CTCを適用するために満たすべき条件は次のとおりです:
(1) 申告期日(延長含む)までにその子どもがSSN(ITINは不可)を持っている
(2) 課税年度末時点で17歳未満である ※ちょうど17歳はNG
(3) アメリカ市民・アメリカ国籍・居住外国人・カナダorメキシコの居住者である
(4) 生計の半分以上を自身で担っていない
(5) Joint Returnをしていない ※還付を受ける目的のみでのJoint Returnは可
(6) 課税年度のうち半分以上をtaxpayerと一緒に住んでいる ※例外あり
(7) Taxpayer自身がJoint Returnをしているか、あるいはJoint Returnでなくかつ別の誰かの被扶養者として扱われていない

🤔後述のとおり、CTCの一部分は「子どもがいるのに所得が高くない世帯への給付金」の性質を帯びています。つまりSocial Security側面があるわけなので、上記条件(1)にあるとおりSSNが要求されている(ITINでは不十分)のかもしれません。

詳しくはForm 1040のInstructionの17~18ページ、Step 1~3をご確認ください。

また、(1)や(2)のルールを満たしていない場合でも、後述のODCを満たせる場合があります。Creditされる金額は少なくなってしまいますが、諦めずに引き続き検討を続けましょう。

なお、CTCの適用には制限があります。具体的には、AGIが$400,000(MFJ)または$200,000(MFJ以外)を超えるとphase out、つまり段階的減額がなされていきます。

Additional Child Tax Creditについて

Additional Child Tax Creditとは、CTCのうち還付可能な金額のことであり、2024年度申告においては、CTCの$2,000(適格子ども1名ごと)のうち$1,700がrefundableとされています。
たとえば適格子どもが1名のtaxpayerがTRをするときに税額がゼロとなった場合、CTCの$2,000のうち$1,700の部分だけは還付として受け取ることができるわけです。

※ACTCは、Credit Limit Worksheet Aを使って算出されるほか、そのWorksheet AのなかでWorksheet Bの数値が参照されます。したがって、ACTCの内容を誰かにreviewしてもらう際、申告データをまるごとreviewerに渡せない場合でも、当該Worksheet AとBはシェアするようにしましょう。

なお、Form 2555「Foreign Earned Income」をTRに添付する場合は、ACTCを使うことができませんので、アメリカ以外での勤労所得があるtaxpayerの場合は要注意です。
🤔Form 2555を適法に使うことで、海外での勤労所得は$126,500(2024年)まで非課税にできます。ACTCは「子どもがいるのに所得が高くない世帯への給付」という救済措置的な性質があるはずですから、海外から多く収入がある世帯にこのような救済が適用されないのは自然ですね。

Credit for Other Dependentsについて

Credit for Other Dependentsは、CTCを適用できない適格被扶養者がいる場合に適用できるCreditです。

ODCを適用するために満たすべき条件は次のよおりです:
(1) 申告期日(延長含む)までにその者がSSN(ITIN, ATINも可)を持っている
(2) 被扶養者として、当該taxpayerの申告に記載されている
(3) CTCやACTCの対象者ではない
(4) アメリカ市民・アメリカ国籍・居住外国人・カナダorメキシコの居住者である
(5) 適格親族である ※Form 1040のInstructionの19ページ目参照
(6) Joint Returnをしていない ※還付を受ける目的のみでのJoint Returnは可
(7) Taxpayer自身がJoint Returnをしているか、あるいはJoint Returnでなくかつ別の誰かの被扶養者として扱われていない
※ATINはAdoption Taxpayer Identification Numberと言い、養子になるための法的手続きの最中であり、かつSSNをまだ持てていない者に付与される、一時的なTINのことです。

🤔CTCとは異なり同居条件が存在しないのは、たとえば「介護施設に入居している高齢の親」などもQualifying Dependentとして扱うためかと思われます。

なお、ODCには還付可能な部分はありません。ODCは適格被扶養者ひとりあたり$500ですが、もともとの税額がそれ以下であっても、余った部分を還付で受け取る等はできません。

延長とForm 8812について

これらのCreditを適用するためには、taxpayer(Joint Returnの場合は配偶者も)は有効なTax Identification Number(TIN)を持っている必要があります。

もし申告期日までにTINを持っていない場合はCreditを主張できないことになるのですが、この「申告期日」は「including extensions」とされています。
したがって、延長後の期日までにTINを取得できる見込みがあるのならば、延長(Form 4868)を行い、TIN取得後にTax Returnを提出すればOKです。

なお、その場合、未納税額があるとペナルティや利子が発生することに繋がってしまいますから、税額の納付だけは期日までにしておく方が良いでしょう。
🤔期日までに納付する金額は「Creditを適用しなかった場合の税額」とし、後々還付によって納めすぎた部分を取り返す方が安全ではないかと思います。Creditが適用される想定で少なく納めた場合、何らかの理由でCreditの主張が却下されてしまうと、不足金額に対してペナルティや利子が発生してしまう可能性があるからです。もちろんtaxpayerの財政事情にもよりますので、一概にどうすべきかは言えませんが……。

金銭以外のペナルティについて

もしtaxpayerがルールを破ってCTC・ODC・ACTCのいずれかを主張し、それが後日「故意であった(reckless or intentional)」と判断された場合、2年間の間、CTC・ODC・ACTCのすべてを主張できなくなってしまいます。
あるいは不正(fraud)によってルール破りをしたと判断された場合は、この期間が10年間となります。
※却下されたことに対し不服申し立て(appeal)をする際はForm 8862を使用します。

我々Preparerは、ルール破りをこちらから提案しないことは至極当然ですが、taxpayerからもらった情報をしっかり精査し、これらのCreditのルール破りをしてしまっていないかをチェックすることが重要です。
Form 8867(Due Diligence Check List)を作成する際、機械的にチェックを記入するのではなく、一つひとつ「本当に根拠書類に問題はないか?」を確認しながらチェックを進めていく必要があるでしょう。

Form 8812の記入について

基本的には簡単なFormですが、ACTCを適用する場合、注意すべき箇所があります。

(1) Line 18:Earned Income
勤労所得を入力する箇所です。ここには給料(wage, salary)・チップ・他の被雇用者としての報酬、個人事業で稼得したnetの所得が含まれます。

もし個人事業で稼得した所得がなければ、InstructionのEarned Income Chartを使って18aに入る金額を計算しますが、個人事業で稼得した所得がある場合、Earned Income Worksheetを使って計算します。
詳細についてはリンク先をご確認ください。

(2) Part II-B
適格子どもが3名以上おり、かつプエルトリコのBona Fideな居住者である場合、ACTCに一定の制限が加わるため、このPart II-Bでその計算が行われています。
🤔20行目にて唐突に登場する$5,100という数字は、適格子どもが3名いる場合のACTC、つまり$1,700×3ですね。

終わりに

ResidentのtaxpayerのTRをサポートする場合、かなりの頻度で出てくるFormかと思われますし、特にACTCは還付金にダイレクトに影響してくるため、taxpayerの関心も高いでしょう。
ですが、同時にForm 8867(Due Diligence Check List)の添付対象となっていたり、誤ってCreditを主張しようとすると2年or10年のストップがかかってしまったりするなど、取り扱い注意のFormでもあります。
注意点などをしっかりと把握し、適法に申告を進めていきましょう。

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